エルメスの刻印で製造年を読む方法|記号・場所を解説

木のテーブルに置かれたゴールド系のエルメス バーキンと真鍮のルーペに、刻印で製造年を読む方法のタイトルを添えたバナー

エルメスのバッグには製造年を示す刻印が施されており、文字とその囲みの形を読み取ることで、いつ作られた個体かを絞り込めます。エルメスは購入時にギャランティカードを発行しないため、この刻印が年代を知るための主要な手がかりになります。

本記事では、刻印が刻まれる場所が年代によって変わること、時代ごとの方式の違い、年とアルファベットの対応表、そして中古購入時に確認する手順までを解説します。お手元のバッグの年代を確認したい方は、GINZA CELIA公式LINEからお気軽にご相談ください。

この記事でわかること

  • 製造年の刻印と、素材を示す刻印はまったく別のものであること
  • 刻印の位置が2015年頃を境に変わっていること
  • 囲みなし→丸囲み→四角囲み→囲みなしという方式の変遷
  • 1945年から現在までの、年とアルファベットの対応表
  • 中古購入時に刻印を確認する具体的な手順

エルメスの刻印とは

エルメスのバッグに刻まれる刻印には複数の種類があり、それぞれ示す情報が異なります。年代を読み取るには、まずどの刻印を見ればよいかを区別することが出発点になります。

刻印が年代を知る手がかりになる理由

エルメスは、バッグの購入時にシリアルナンバーを記載したギャランティカードを発行していません。そのため、購入時の書類から製造年を確認するという方法が取れず、本体に刻まれた刻印を読み取ることが年代を知る基本の手段になります。

刻印は革に直接押されているため、書類のように紛失する心配がありません。中古・未使用品を検討する際には、この刻印が年代を判断する出発点になります。

製造年の刻印と素材の刻印は別物

混同しやすいのが、製造年を示す刻印と、革の種類を示す刻印の違いです。革の種類を示す記号は「HERMÈS PARIS MADE IN FRANCE」のブランド刻印のすぐ横に刻まれ、クロコダイルのポロサスなら「Λ」、ニロティカスなら「‥」、アリゲーターなら「□」が使われます。クロコダイル3種類の見分け方はエルメスのクロコダイルとは?で詳しく解説しています。

一方の製造年の刻印は、これとは別の位置に押されます。アリゲーターを示す「□」と、製造年の文字を囲む四角はまったく別の意味ですので、取り違えないようご注意ください。

刻印はどこにあるか

製造年の刻印の位置は、モデルによってだけでなく、製造された年代によっても変わります。探す場所を間違えると見つけられないため、年代ごとの違いを押さえておきましょう。

2015年頃までのバッグ

バーキンやケリーなど、2015年頃までに製造された個体では、サングル(本体前面の留めベルト)の裏側に製造年の刻印が押されています。ベルトをめくった内側になるため、外からは見えません。

表からひと目で確認できる場所ではないため、店頭で確認する際はベルト裏を見せてもらう必要があります。この位置にあること自体が、2015年頃までの個体である手がかりにもなります。

2016年頃以降のバッグ

2016年頃以降に製造された個体では、刻印の位置が本体の内側に移っています。具体的には、内側の左側面、背面寄りの上部に押されるようになりました。

バッグを開けて内側の側面を見る形になるため、サングル裏を探しても見つかりません。位置が変わった時期そのものが年代を絞り込む材料になるため、まずどちらの位置にあるかを確認しましょう。

モデルによる違い

すべてのモデルが同じ構造ではないため、位置はモデルごとに確認が必要です。たとえばピコタンにはバーキンやケリーのようなサングルがなく、刻印はカデナを通すベルトの金具付近に押されていることが多いものの、個体によって位置が異なる場合があります。

なお、エルメスのバッグには縫い付けられた布製・革製のブランドタグがありません。「タグを探す」という考え方自体が当てはまらない点は、他ブランドとの大きな違いです。

年代別の刻印システム

製造年を示す方式は、1945年以降に4つの形が使われてきました。文字そのものより、文字を囲む形が時代を分ける鍵になります。

1945〜1970年(囲みなしのアルファベット)

1945年から1970年までは、アルファベット1文字をそのまま刻印する方式でした。囲みも図形も付かず、Aが1945年、Zが1970年に対応し、26文字で26年分をちょうどカバーしています。

この時期の個体は現存数が少なく、市場で見かける機会は多くありません。囲みがない刻印を見た場合は、次に説明する2015年以降の可能性とあわせて判断する必要があります。

1971〜1996年(丸で囲んだアルファベット)

1971年からは、アルファベットを丸(○)で囲む方式に変わりました。文字は再びAから始まり、Aが1971年、Zが1996年に対応します。

囲みの形が変わったことで、同じ文字でも1945〜1970年の個体と区別できるようになっています。丸で囲まれていれば1971〜1996年の製造と判断できます。

1997〜2014年(四角で囲んだアルファベット)

1997年からは、アルファベットを四角(□)で囲む方式に切り替わりました。丸囲みと同じ構造で、記号が追加されたわけではありません。Aが1997年、Rが2014年に対応します。

中古市場に出回る個体の多くがこの時期に該当します。なお2014年の後半には、四角のない移行期の個体も一部確認されていますが、原則として2014年までは四角囲みです。

2015年以降(囲みなし・順不同)

2015年からは再び囲みのない方式に戻りましたが、それ以前とは決定的な違いがあります。模倣対策のため、文字がアルファベット順に割り当てられなくなりました。2015年にはTが使われています。

順番に並んでいないため、文字から年を計算することはできませんが、年ごとの文字は判明しています。対応は後述の「2015年以降の対応一覧」で確認できます。また、刻印が本体内側の左側面にあること自体が2016年頃以降の製造を示す手がかりになります。

年とアルファベットの対応表

囲みの形が分かったら、次は文字から年を読み取ります。1945年から2014年までの3つの時代については文字と年が順番に1対1で対応し、2015年以降は順不同ながら年ごとの文字が決まっています。

なお、製造年の文字の近くには、職人やアトリエを示す別の文字が並ぶことがあります。年を示すのは囲みの中(囲みのない1945〜1970年は単独)の1文字だけで、それ以外の文字は製造時期を表すものではありません。2015年以降の刻印は、年の文字のあとに職人などを示す英数字が続く形になっており、年を示すのはその先頭(上段の左端)の1文字です。

1945年〜2014年の対応一覧

囲みの形ごとに、各文字が示す年は次のとおりです。

文字 囲みなし(1945〜1970年) 丸囲み(1971〜1996年) 四角囲み(1997〜2014年)
A 1945年 1971年 1997年
B 1946年 1972年 1998年
C 1947年 1973年 1999年
D 1948年 1974年 2000年
E 1949年 1975年 2001年
F 1950年 1976年 2002年
G 1951年 1977年 2003年
H 1952年 1978年 2004年
I 1953年 1979年 2005年
J 1954年 1980年 2006年
K 1955年 1981年 2007年
L 1956年 1982年 2008年
M 1957年 1983年 2009年
N 1958年 1984年 2010年
O 1959年 1985年 2011年
P 1960年 1986年 2012年
Q 1961年 1987年 2013年
R 1962年 1988年 2014年
S 1963年 1989年 ―
T 1964年 1990年 ―
U 1965年 1991年 ―
V 1966年 1992年 ―
W 1967年 1993年 ―
X 1968年 1994年 ―
Y 1969年 1995年 ―
Z 1970年 1996年 ―

※「I」「O」「Q」を飛ばす仕組みはありません。囲みなし(1945〜1970年)と丸囲み(1971〜1996年)はA〜Zの26文字すべてを使い、四角囲み(1997〜2014年)はAからRまでの18文字で、S以降は使われていません。

2015年以降の対応一覧

2015年以降は、各年に次の文字が割り当てられています。

製造年 刻印の文字
2015年 T
2016年 X
2017年 A
2018年 C
2019年 D
2020年 Y
2021年 Z
2022年 U
2023年 B
2024年 W
2025年 K
2026年 G

※年ごとの文字はエルメスが公表しているものではなく、市場に流通する個体から確認されたものです。2026年(G)は流通開始から間もないため暫定です。

2015年以降を読むときの注意

1945年〜2014年の対応一覧は、2015年以降の個体には適用できません。囲みのない刻印を見つけた場合、それが1945〜1970年の個体なのか2015年以降の個体なのかを、まず判断する必要があります。

判断の手がかりになるのが、刻印の位置とバッグ全体の状態です。刻印がサングル裏か本体内側左側面かを確認することで、年代を大きく絞り込めます。

ただし位置が移ったのは2016年頃のため、方式が切り替わった2015年の個体は「囲みなし」でありながらサングル裏に刻印がある場合があります。2015年だけは位置による切り分けが効かないため、革の状態や仕様とあわせた確認が必要です。

刻印を見るときの注意点

刻印は年代を知る有力な手がかりですが、常に明確に読み取れるとは限りません。実物を見る際に押さえておきたい点を整理します。

摩耗で読み取れない場合

使用年数の長い個体では、刻印が薄くなって読み取りにくくなることがあります。特にサングル裏の刻印は、開閉のたびに擦れる位置にあるため摩耗が進みやすい箇所です。

明るい光の下で角度を変えながら見ると、浅くなった刻印でも輪郭を確認できることがあります。それでも判別できない場合は、無理に読み取ろうとせず専門店に確認を依頼してください。

サングル交換で刻印が失われることがある

2015年以前の個体は刻印がサングルにあるため、正規店以外でサングルを交換した個体では、製造年の刻印そのものが失われていることがあります。年代が読み取れない個体に出会った場合、まずこの可能性を考えてください。

なお、修理によって製造年の刻印が別の年に打ち直される運用は確認されていません。修理の際に押し直されることがあるのは、薄くなった「HERMÈS PARIS MADE IN FRANCE」のブランド刻印です。長く使うための手入れや修理の考え方はバーキンは一生もの?でご紹介しています。修理の依頼先や料金の目安はエルメスの修理はどこに頼む?で解説しています。

刻印と真贋の関係

刻印は製造年を示すものであり、それだけで真贋を判断できるものではありません。刻印の有無や読み取りやすさは、個体の状態や年代によって変わります。

よく知られた確認点として、「HERMÈS」のEにアクセント記号(È)が入っているかどうかがあります。ただしアクセントがないものは疑わしいと言える一方、あることが本物の証明にはなりません。近年の精巧な模倣品はこの記号も再現しているため、型押しの深さや文字の均一さとあわせて見る必要があります。刻印以外の確認ポイントはエルメス 本物の見分け方で詳しく解説しています。

中古購入時に刻印を確認する手順

中古・未使用品を検討する際は、次の手順で刻印を確認すると判断しやすくなります。順番に見ていくことで、年代を段階的に絞り込めます。中古で選ぶ際の利点と注意点はエルメス中古バッグのメリット・デメリットでまとめています。

確認の5ステップ

実物を前にしたときの流れは次のとおりです。

  1. サングル(留めベルト)の裏側を確認する。ここにあれば2015年頃までの個体
  2. 見当たらなければ、本体内側の左側面上部を確認する。ここにあれば2016年頃以降の個体
  3. 刻印の囲みの形(なし・丸・四角)を確認する
  4. 文字を対応表に当てはめて年を読み取る。サングル裏の刻印は「1945年〜2014年の対応一覧」、本体内側の刻印は「2015年以降の対応一覧」を使う(サングル裏で囲みのない「T」は、1964年と2015年の両方の可能性がある)
  5. ブランド刻印の横に素材記号があれば、革の種類もあわせて確認する

判断に迷ったときは

囲みのない刻印で年代が絞り込めない場合や、摩耗で文字が読み取れない場合は、ひとりで結論を出す必要はありません。取り扱い実績のある専門店であれば、位置・状態・仕様を総合して判断できます。

GINZA CELIAでは、10年以上の経験を持つ鑑定士が一点ずつ検品しています。お手元のバッグについても、年代や状態のご相談を承っています。

よくある質問

Q. 刻印はバッグのどこにありますか?

A. 年代によって位置が異なります。2015年頃まではサングル(前面の留めベルト)の裏側、2016年頃以降は本体内側の左側面上部です。ピコタンのようにサングルがないモデルでは、カデナを通すベルトの金具付近にあることが多いです。

Q. 「I」や「O」の文字は使われないのですか?

A. 使われます。これらの文字を飛ばす仕組みはなく、四角囲みの時代ではIが2005年、Oが2011年、Qが2013年に対応します。ただし四角囲みの時代は1997年のAから2014年のRまでのため、S以降の文字は使われていません。

Q. 囲みのない刻印でしたが、何年のものですか?

A. 囲みのない方式は1945〜1970年と2015年以降の2つの時代で使われているため、文字だけでは特定できません。刻印が本体内側の左側面にあれば2016年頃以降と判断でき、文字は「2015年以降の対応一覧」で年を確認できます。ただし位置が移ったのは2016年頃のため、2015年の個体はサングル裏にある場合もあり、位置だけでは切り分けられません。

Q. 修理に出すと製造年の刻印は変わりますか?

A. 製造年の刻印が別の年に打ち直される運用は確認されていません。修理の際に押し直されることがあるのは、薄くなったブランド名の刻印です。ただし2015年以前の個体は刻印がサングルにあるため、正規店以外でサングルを交換した個体では刻印そのものが失われていることがあります。

Q. 刻印を見れば本物かどうか分かりますか?

A. 刻印は製造年を示すもので、それだけで真贋を判断できるものではありません。アクセント記号の有無も、ないものは疑わしいと言える一方、あることが本物の証明にはなりません。近年の模倣品はこの記号まで再現しているため、型押しの深さや文字の均一さとあわせて見る必要があります。

まとめ

エルメスの製造年の刻印は、2015年頃を境にサングル裏から本体内側左側面へと位置が変わり、方式も囲みなし・丸囲み・四角囲み・囲みなしと移り変わってきました。1945年から2014年までは文字と年が順番に対応し、2015年以降も年ごとの文字が決まっているため、刻印の位置・囲みの形・文字が分かれば製造年を読み取れます。年代や状態のご相談は、GINZA CELIA公式LINEからお気軽にお寄せください。

この記事のまとめ

  • ✓刻印の位置は2015年頃までサングル裏、2016年頃以降は本体内側左側面上部
  • ✓方式は囲みなし→丸囲み→四角囲み→囲みなしと変遷。2014年はR、2015年はT
  • ✓文字は飛ばさず順に対応。I・O・Qも使われる(四角囲みの時代はA〜Rまで)
  • ✓2015年以降は順不同のため、計算ではなく一覧で年を確認する
  • ✓製造年の刻印と、革の種類を示す記号(Λ、□など)は別物

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